Surrealism:リード部分(第2稿)

リード部分について、仏語版Wikipediaの記述等、いただいたご指摘を踏まえて以下のような暫定的修正を試みました。
リード部分がわかりやすく、また一定程度適切に要約できているかは辞書項目として重要な要素だと思われますので、
安易に決定稿とせず、引き続き検討して参ります(最終段階で固められればいいかな、くらいの意識でいます)。

(9月6日追記)
・一部訳文ミスをご指摘いただきましたので修正致しました。
・構成についてご提案がありました。この点については全体観から判断致しましょう(審議事項)

      • 以下、修正文

シュルレアリスム

シュルレアリスム(超現実主義)とは、1920年代初頭のフランスを中心に発展した、主に文学・視覚芸術分野における20世紀の新興運動である。

シュルレアリスムは、人間の精神的な力(オートマティスム、夢、無意識)を動員した様々な表現方法により、不可思議なもの(*1)、意図せざるものの並置や不条理なもの、ユーモア性などを追求することをその特徴としている(*2)。

シュルレアリスト(超現実主義者)である作家・芸術家の多くは、自らの仕事について、まずもって作品による哲学的運動の表現であるとみなしている。
主唱者であったアンドレ・ブルトンは「シュルレアリスム何よりもまず、一つの革命的運動であった」と断言している。(※要出典)

シュルレアリスムは運動の最重要拠点をパリに置き、第一次世界大戦中に展開したダダの活動から離れて発展した。
1920年代以降、シュルレアリスムはその哲学・政治思想とともに、特に文学、視覚芸術、映画、音楽分野で世界中に拡大し、影響を与えた。

      • 訳文終わり

(*1)「驚異」と訳していましたが、巌谷國士訳、生田耕作訳のそれぞれの「シュルレアリスム宣言」を参照してみると、「驚異」でなく「不可思議」とあてていますね。異論がないわけでもないですが、辞書的機能を鑑みると、人口に膾炙した表現であることが肝要ですので、「不可思議」と置いてみました。

(*2)ここに「精神の理性による統制からの解放を目指した」という文言を入れようかと思いましたが、「宣言」中に「理性の管理下」に置くとの表記があり、ここがバタイユも批判したブルトンシュルレアリスムのネックだと思っています。夢なり無意識なり(夢が既に検閲を受けたものであることも意識しつつ)を用いてシュルレアリストが(包括的に)何をしようとしたか、は引き続きの検討課題です。

Surrealism:1 運動のはじまり(第1〜3パラグラフ)

取り敢えず、悩むことなく翻訳作業を進めていこうと思います。
おかしなところも多々あろうかと思いますが、皆様からご叱咤いただきながら、解消していければと思います。

      • 以下、訳文

1 運動のはじまり

シュルレアリスト」(*要確認)という言葉は、フランスの詩人ギヨーム・アポリネールが、自らの戯曲「テイレジアスの乳房」(1903年作、1917年初演)において用いたのを嚆矢とする。

第一次世界大戦の脅威はパリを拠点とする作家や芸術家を放逐し、大戦の間、その多くはダダの活動に巻き込まれていった。彼らは過度な合理主義やブルジョア的価値観が世界規模の戦争をもたらしたと信じていたのだ。ダダの活動家たちは反芸術的な集会やパフォーマンス、著述や作品をもってこれに抵抗した。戦後、彼らがパリに舞い戻ったときにも、ダダはいまだ進行形の活動であった。

医学・精神医学を学んでいたブルトンは、大戦の間、神経科医療機関で戦争神経症に苦しむ兵士たちに対し、ジークムント・フロイトによる精神分析の手法をもって治療に臨んでいた。その際に若き作家であるジャック・ヴァシェと出会っているが、ブルトンはヴァシェこそ、作家で形而「超」学の始祖たる、アルフレッド・ジャリの精神的後継者であると感じていた。ブルトンは後に「文学において常に私が惹かれたのは、ランボー、ジャリ、アポリネール、ヌーヴォー、ロートレアモンであったが、ジャック・ヴァシェにはその最大のものを負っている。」(*要出典)と述べている。

      • 訳文終わり

ブルトンのヴァシェに関するコメントの出典が不明です。ヴァシェ自身謎の多い人物ですが、「シュルレアリスム宣言」にも名前が登場するほど、ブルトンにとっては影響が大きかった人物のようです(フロイトにとってのフリースのような…とは言い過ぎでしょうか)。どなたかご知見ありましたらご教示いただけますと幸いです。

Surrealism:リード部分訳文(案)

とりあえず、英語版Wikipedia"Surrealism"のリード部分訳文(案)です。
直訳に適宜加筆しています。

      • 以下、訳文---

シュルレアリスム

シュルレアリスム(超現実主義)とは、1920年代初頭のフランスを中心に発展した、主に文学・視覚芸術分野における新興運動である。

シュルレアリスムは、「驚異」、「意図せざる並置」および「非合理性(?)」といった概念を重視することをその特徴としているが、
シュルレアリスト(超現実主義者)である作家、芸術家の多くは、自らの仕事について、まずもって作品による哲学的運動の表現であるとみなしている。
主唱者であったアンドレ・ブルトンはその主張において、シュルレアリスムはあらゆる革命運動の上位に位置すると断言する。

シュルレアリスムは運動の最重要拠点をパリに置き、第一次世界大戦中に展開したダダの活動から離れて発展した。
1920年代以降、シュルレアリスムはその哲学・政治思想とともに、特に文学、視覚芸術、映画、音楽分野で世界中に拡大し、影響を与えた。

      • 訳文終わり---

私の未熟さのせいもあるのですが、翻訳すると、全体的にギクシャクした感じがあるのは否めませんね…
"non sequitur"を一応「非合理性」と充てていますが、適当な訳語が思い当たらない。
あまり悩まず、まずは全体をざっと訳して、それから修正作業を加えていったほうがいいのでしょうかね。

当室の当面の課題について

当室からのお知らせ

当室の活動開始にあたっての当面の課題として、シュルレアリスムに関する基礎的かつ一定程度包括的な情報を取りまとめ、インターネット上(Wikipediaを想定)にアップロードすることを目的としたいと思います。

派生事項は多岐に及びますが、まずは、本丸である「シュルレアリスム」項目を必要十分なものにすることが喫緊の課題です。
同項の記述については、残念ながらやや偏りがあり、シュルレアリスムの系統的・体系的説明となっていません。少なくとも同項を足掛かりとするにはいかにも情報が不足、かつわかりにくい記述となっています。

参考:日本語版Wikipediaシュルレアリスム」→http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B7%E3%83%A5%E3%83%AB%E3%83%AC%E3%82%A2%E3%83%AA%E3%82%B9%E3%83%A0 (URL短縮が効かないようなのでこちらでアクセス願います)

当室としましては、同項の記述を系統的・体系的としつつ、なおかつわかりやすいものとするために、英語版の同項の記述が比較的まとまっており参考になるのではないかと思っております。

参考:英語版Wkipedia「Surrealism」→http://bit.ly/cZ75C

ですから、まずは英語版同項のそれぞれの記述を訳出しつつ、適宜、加筆修正および日本語版の文献情報を追加するなどを当面の作業としたいと思います。

訳文等については適宜こちらにアップし、ご意見・ご感想をコメントいただきながらブラッシュアップできればと考えております。協力者につきましても随時募集しておりますので、併せてよろしくお願い致します。

開設準備室 事務局

開設準備室からのご挨拶

ごあいさつ

この度は、当「シュルレアリスム研究所開設準備室」のページをご高覧いただきありがとうございます。
私は当室事務局のdilettante_kです。

当室は、1924年にフランスにおいてアンドレ・ブルトンらによって「発見」された思想体系である、シュルレアリスム(超現実主義)の昨日・今日・明日に関する諸処雑多な文献資料・記録・画像/映像などを蒐集・蓄積・整理・分類・解析し、その可能性について検討することを目的とした「シュルレアリスム研究所(仮称)」の開設準備室です。

もとは、私がTwitter(@dilettante_k)上でシュルレアリスムとその周辺について勝手気儘に呟いていたことをきっかけとしておりますが、Twitterは長文投稿や情報の蓄積等に向いていないということもあり、当ページを開設するに至りました。

研究員はおろか、運営にあたっての明確な方向性もございませんが、皆様のご指導・ご鞭撻、よろしくお願い申し上げます。
なお、資料等のご提供、研究員・事務局員は随時募集しております。お手数ですがTwitterアカウント(@dilettante_k)に話しかけていただくか、コメント欄にご投稿いただけますと幸いです。

シュルレアリスム研究所開設準備室 事務局 dilettante_k